ショッピングセンター、お買い物ポイントでおつとめ品の菓子パンを買う。ここで食べてしまおうとエスカレーター脇のベンチに座った。食べながら通路の先に目をやると、マクドナルドの様子がいつもと違う。普段だと店内に一人いるかいないかぐらい遭遇率の低いマネージャー格っぽい制服、それが二人並んで店の前に立っていた。詫びている。そんな気配が遠目にわかる。

何を詫びているのか興味を持った。別のところで用事を済ませ、マクドナルドに向かった。もう詫び店員は表に立っていなかった。入口に張り紙がある。何が書いてあるのか読もうとさらに近づくと、奥にいた姿勢のよい店員さんに見付かってしまった。

私は張り紙を読むためにその場に立ち止まった。そのために私を客と識別したようだ。店員さんは申し訳なさそうな表情を作りながら近づいてきた。距離がじゅうぶん縮まったところで詫び口上が再生される、そういう気配を感じた。私はただの好奇心で寄っただけで、客になるつもりもなかったのだから詫びてもらうことは何もない。私はさっと上げた手を小さく左右に振りながら、相手と同じように上体をやや倒し苦笑いのような表情を作って、口だけ「あ、いやいや」と動かして店の前を離れた。