蒲郡の竹島に行った。ちょうど干潮っぽくて、橋の真ん中ぐらいまで陸が続いていた。砂地の水際には白い鳥が並んで立ち、赤ちゃんのような声できゃあきゃあと鳴きながら足踏みしては水にくちばしを突っ込んでいた。水の上では黒い鳥の群れが浮かんでいた。一斉に飛び立ってはまたすぐバチャバチャと音を立てて着水してを繰り返していた。

毎年一月のうちに初詣として来ていたのだけれど、今年は遅くなった。島に入るとあちこちに隠されたスピーカーから大音量で雅楽の曲が放送されていた。参拝客も多くいて、社殿の前で列になっていた。人びとは賽銭箱に正対する位置で行儀良くお辞儀したり手を打ったりしていた。なぜか同時に一組でしか拝めない暗黙のルールが敷かれているらしく、賽銭箱の正面が空く順番を並んで待っていた。私は列の中にこわそうな人がいないことを確認してから、列を無視して脇からひょいっとお賽銭を入れて手を合わせて頭を下げた。拝むときに何を思えばいいのかわからない。ボールを拾ってもらった野球少年のようにぺこっと頭を下げることで義理を果たしたことにしてる。