夜の間、強い風と雨の音が聞こえてた。家族が起き抜けに、桜ももう散っちゃっただろうねと言う。家と職場を往復するばかりの毎日だけど、頭の中に桜の花があったようだ。家族に人間としての奥行きを感じた。

晴れたから駅前に歩いてむかう。桜の花びらが濡れてべちゃっと地面に貼り付いてた。日差しで乾いたものが強い風で足元をクルクルまわる。桜のトンネルは花吹雪。歩道はどこもピンクの砂を撒いたよう。ビルの入口に吹き寄せられて積もった様子は波打ち際の泡みたい。木の無い路地でも白い花びらがコロコロと駆け寄ってくる。どこにも桜の花びらが落ちてる。

豚ひき肉と豆腐のカレーを作った。冷凍してたカレーのもととカレールー、冷凍おくらを入れた。汁だけ残ってた大根の漬け物、その汁で乾燥わかめを戻してキャベツの漬け物と混ぜた。意外にちゃんとおいしかった。